エキノコックス症に感染するとどうなるか?

感染時のダメージ

成虫は体長が5mm前後の寄生虫(水につけると肉眼で泳ぐ様子が確認できる)。幼虫は主に肝臓で増殖を繰り返し、エキノコックス症となる。

キタキツネやイヌの糞に混じったエキノコックスの虫卵が水、食物などを介してヒトの口から感染すると、主に肝臓で増殖し肝機能に重大な障害をもたらす。潜伏期が極めて長く、エキノコックスの卵から約10年ほどで肝腫大による自覚症状が出る。肝臓から他の臓器(肺、稀に脳)へ転移する為、根本的な治療が必要。

虫卵は直径0.03ミリで肉眼で確認不可能。加えて、摂氏マイナス20度より低くても耐える(高温には弱い)為、成虫を保有する機会のあるキツネ、イヌ。または虫卵が体毛に付着した動植物によって人間の元へと運ばれてくる。日本では北海道以北の感染症と見られていたが、本州への定着も有り得るとされている。

過去に東京都では、「東京ムツゴロウ動物王国」に伴う動物移転の際、東京都での定着を危惧し移転が危ぶまれていた。

「ムツゴロウ動物王国」のあきる野市移転について
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2004/03/60e3g104.htm

1月下旬の夕刊各紙に「「ムツゴロウ動物王国」あきる野市(サマーランド)移転」ニュースが掲載されました。犬の頭数だけで120頭を超え、移転動物総数400頭余という北海道から本土への動物移転は、エキノコックス症研究をしている者にとっては座視できない大問題です。

この病気は感染症予防法では、動物等を介して人に感染し、国民の健康に影響を与える恐れがあるものとして、四類感染症に分類される疾病で、狐、犬などの肉食獣に寄生し、その糞を食べた鼠がエサになることにより更に感染が拡大し、人に感染すると、長期の無症状期を経て肝機能障害を引き起こし死にいたる場合も。早期に発見できても、健康な臓器を切除する以外根治不能とされる恐ろしい病気です。

そうなると、犬、猫、狐、狸、がエキノコックスを運ぶ危険性を真剣に考え、それを確実に防止する必要があります。 それは、地元市に生息する野鼠に虫卵が摂取されて、エキノコックスの感染環があきる野市に定着すると、ムツゴロウ動物王国とあきる野市がエキノコックスを本州に侵入させた元凶という大変不名誉な事態になりかねないからです。 この問題を乗り切るため、

1 東京都にエキノコックス(症)専門家の獣医師数名の委員(うち、地元から1名)と公衆衛生専門家数名の委員(うち、地元医師会から1名)及び行政側委員数名で構成する「送り出し、受け入れ方法及び動物の公開方法協議検討委員会(仮称)」を設置し、ここで協議され、委員の意見が完全に一致した方法でのみ、動物の移転、受入れ、公開を実施させなければいけません。

2 エキノコックスの終宿主となり得るイヌ科動物(犬、狐、狸、狼)や猫の送り出し、受け入れには、特に十分な注意を払い、エキノコックスの本土進入を阻止する必要があります。 また、公開後の観客へのエキノコックス(症)感染を完全に阻止し得る対策を講じなければなりません。対策としては、 1 すべての動物の検便(虫卵の顕微鏡検査と糞便内抗原検査) 2 外界からの完全隔離下での駆虫

3 駆虫後の完全な全身シャンプーによる虫卵の洗い落とし

4 東京移転後の再検便と最低1回の駆虫(すべての終宿主を対象)

5 公開前に1から3ヵ月の空白期間をおき、万一虫卵排出をしている動物がいても、その期間に虫卵排出数が減少することを狙う などが考えられます。

駆虫剤の量、投与回数、間隔などの詳細は委員会が決定する必要があります。 終宿主とならない馬、羊などの中間宿主動物に対しても、送出し前に完全なシャンプー処置をして体表から、毛、ヒズメ(特にこれが重要。北海道の虫卵を含む泥を持ち込む可能性があります。)に付着している虫卵を洗浄し、洗浄後は外界との接触を断ち、直ちに東京に発送します。

これらの中間宿主動物は、東京サイドで再度シャンプー処置を繰り返す必要があります。 公開時期については委員会で協議の上決定し、許可しなければなりません。 これでも不十分です。とにかく、ムツゴロウ動物王国側の勝手な判断で動物を動かせないようにすることが大切だと考えます。

ちなみに、英国では海外からのペットの検疫に関して、最近変更したエキノコックス対策のため、1〜2日前に条虫を駆除することを義務付けました。これはドイツ、フランスなどのエキノコックス流行地からのペット持込に対応したものです。

北海道と本州の動物検疫において参考とすべきでしょう。 また、ムツゴロウ氏の名声により、同王国施設周辺に遺棄され半野生化した動物、野犬などにより、エキノコックスが成虫宿主を獲得し、定着、蔓延することも考えられます。 多摩の自然を破壊し、地域住民の生活権を侵害し、健康被害を起こす恐れの高い、ムツゴロウ動物王国の本土移転に反対します。皆様の真剣かつ慎重なご検討をお願いいたします。

尚、「東京ムツゴロウ動物王国」は経営難で東京での運営が不可能となり3年半後の2007年11月25日に正式に閉園、再び北海道で活動している。